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物流を支えるITインフラ

2013年8月19日

株式会社セイノー情報サービスは、西濃運輸およびセイノーグループの全国配送網を支えるオンラインシステムを構築し、貨物の追跡管理を確立して輸送の一元化を図るとともに、VAN事業への本格的進出をを目指して設立されました。

セイノーグループの輸配送をつかさどるTMS(貨物追跡管理システム)の歴史はセイノー情報サービスの歴史でもあります。

IT利用の始まり

西濃運輸は1969年(昭和44年)、電算機器(FACOM230)を導入して給与計算や輸送実績資料を作成した頃からコンピュータを活用した情報化に積極的に取り組んできました。

1982年(昭和57年)、大垣支店へIBM8100を分散処理プロセッサーとして導入し、発送、到着、精算、問い合わせ処理をオンライン化したところから始まり、その後1983年(昭和58年)には全営業所(112店)にオンラインシステムを導入しました。西濃運輸のトレードマークから、カンガルーオンラインと呼んでいます。

その翌年、1984年(昭和59年)にセイノー情報サービスを設立。同年にはグループ会社含め291拠点へオンライン化を展開し、業界最大のオンラインネットワークを完成させました。

1985年(昭和60年)には高速デジタル回線を利用した「バックボーンネットワーク」を稼働させることで、全国の拠点を結び、更に日本IBMとの間でVANサービスの相互乗り入れを実施しました。これらの取り組みにより様々な企業とネットワークを結び、情報交換が可能となったのです。

ネットワークの変遷

前述のように、セイノーでは配送網の全国展開に合わせ、その情報通信ネットワークを構築してきました。

日本の通信インフラの動向を踏まえ、その時代に最適なネットワークを選択してきました。「バックボーンネットワーク」を構築した時代は各拠点を結ぶ回線は専用回線を使ってきましたが、1998年(平成10年)から順次フレームリレー網へ移行してネットワークコストを削減し、重要な拠点はバックアップ回線の整備を始めました。

2005年(平成17年)にはIP-VPN網へ移行、全拠点バックアップ回線の整備を進めました。

止まらないシステムを目指して

少し時代は戻りますが、2001年(平成13年)には、それまでの分散処理からセンター集中型システムへ移行を行いました。

発送する営業所で運送状の情報を登録、運賃を計算、そしてトラックへ積み込んだ情報は、貨物が到着する営業所のコンピュータに送信し、配達登録や配達完了の処理を行い、それを追跡情報として発送営業所でも参照できるようにするなど、分散処理においてはコンピュータ間での通信が煩雑でした。

全国で発生する運送状の処理を分散することで、処理そのものは効率的でしたがコンピュータの処理能力が目覚ましく発達したこともあって、センター集中処理が可能になったのです。

センター集中型システムは、ネットワークが途切れると一切使えなくなってしまいます。それは業務停止につながります。通信ネットワークの可用性を高めるためにバックアップ回線を整備してきました。本回線がダウンすると自動的にバックアップ回線に切り替わり、本回線が復旧したらバックアップ回線から自動的に戻る仕組みにしています。

センターコンピュータの可用性を高める取り組みもしています。業務の重要度に応じたセンターサーバー、センターネットワークの二重化、負荷分散によるアクセス集中時の対応などを行っています。

昔はオンラインが止まっても運送状と荷物があれば運べましたが、お客さまとの情報交換を行うEDIが進んでいくとともにオンラインが止まると出荷そのものが止まってしまうことになります。

このように、カンガルーオンラインを強固な、止まらないシステムにする要求がセイノー情報サービスの技術を磨いたと言ってもよいと思います。これまでの経験や技術を生かし、通信インフラの課題を解決するネットワーク・トータルサポートサービスを提供しています。

2005年(平成17年)には災害対策センターを設け、基幹系サーバーについては二重化している片側を災害対策センター側に移設しました。この2拠点間を高速通信ネットワークで結び、ほぼリアルタイムにサーバー間で同期を取る仕組みを構築しています。このプロジェクトで培ったノウハウを、障害・災害対策構築サービスとしてご検討のお客様に提供しています。

クラウドサービスの提供へ

このようなコンピュータインフラを活用して、セイノーにご出荷いただくお客さまに出荷支援のクラウド提供を行っています。

カンガルー・マジックIIは、インターネット環境にあるパソコンから簡単に送り状を作成できるサービスです。送り状や荷札を作成できるだけでなく、出荷実績やお届け状況の照会、運賃の照会から請求情報の照会まで、お客さまの出荷業務全般にわたる便利なサービスです。

また、物流倉庫をお持ちのお客さまに対してその運営を効率化する倉庫管理システムSLIMS(スリムス)在庫量の適正化にお役に立てるSLASH(スラッシュ)などのサービスも、いわゆるクラウドサービスとしてお客さまに提供していますので、これが停止すると大変な騒ぎになります。

アプリケーションサービス、サーバーサービス、ネットワークサービスのどこがボトルネックになってもいけません。

ここにも止まらないシステムを構築してきたノウハウを注ぎ込んでいます。何と言っても安定稼働が一番大切です。蛇口をひねれば必ず水が出るのと同様に、アイコンをクリックすれば必ずアプリが動き、ログインすれば必ずつながるシステムが必要です。

それでも止まってしまうのがコンピュータシステムです。形あるものはいつか壊れるように、絶対止まらないシステムはありません。大事なのはダウンタイムをどれだけ短くするかでしょう。そのため、障害を早期に検知し対処をすることが必要です。

カンガルーオンラインをセンター集中型に移行し始めた2000年ころ、一部のサービスがダウンしたことに気づかず、結果として大きな業務影響が出たことがありました。

当時はサーバーコンソールにアラートが表示されたのですが、それを見逃してしまったのです。これを教訓に、アプリケーションレベル、稼働サービスレベル、そしてハードウェアレベルまで各サーバーを監視し、アラートを検知して音声通報する仕組みを構築しました。

現在では、カンガルーオンラインだけではなく稼働するすべてのシステムに適用して運営しています。このノウハウは、運用監視ツール(i-Watcher Operation)として提供していますので、同様のお悩みを抱えていらっしゃるIT運用責任者さまは是非ご相談ください。


以上のように、コンピュータネットワークシステムに対して投資をしてきたように見えますが、苦労するのはこれにかけるコストです。

分散処理からセンター集中することでサーバーの台数を減らしてネットワークに投資をする。ネットワークコストを順次削減してバックアップ回線を整備する。メインフレームをダウンサイジングして災害対策に投資をするなど常にコスト意識を持って、長期的にBCP対策も意識しながらITインフラを整備しなければなりません。

ITインフラの整備は直接的即時的に事業の利益を生み出すものではありませんので、その地道な積み重ねと管理体制が長期的な効果を産み出すものだと思います。

執筆 : 執行役員 S.T.