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第4次産業革命は何のために

2015年6月15日

皆様は「第4次産業革命」という言葉をお聞きになられたことはありますか。製造業に従事されている方は既にご存知の方もいらっしゃるかと思います。

では、「第4次産業革命」とはいったい何でしょう。学校の教科書にも出てきた「産業革命」という言葉ですが、第1次~第4次は下記のような意味です。

産業革命年代内容
第1次産業革命18世紀石炭をエネルギーとした蒸気機関による機械化
第2次産業革命20世紀初頭電気エネルギー(電力)が可能にする大量生産
第3次産業革命20世紀後半コンピュータによる生産自動化と効率化
第4次産業革命2015年~ IoTによる新たな「考える工場」の実現

上記の通り、第4次産業革命とは「IoT(Internet of Things)」によって、工場自身が考えるようになっていくことです。

日本と同様に工業国として有名なドイツでは、第4次産業革命に向けて、産官学一体のプロジェクト「インダストリー4.0」に取組んでおり、20年間かけて実現していこうとしています。

インダストリー4.0で可能になること

「インダストリー4.0」では、いったい何が可能になるのでしょうか。

結論から言うと、今までコスト的に不可能であった「オーダーメイド製品の大量生産」を実現する、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)が可能になります。

第3次産業革命まではマスプロダクション(大量生産)をいかに効率的に行うかを目的に、競争力のある価格で消費者に安定して製品を供給してきました。

これに対し「インダストリー4.0」ではマスカスタマイゼーションにより、マスプロダクション(大量生産)と変わらない価格帯で、オーダーメイド製品を供給できるようになるのです。

インダストリー4.0の必要性

では、インダストリー4.0によるマスカスタマイゼーションの実現が、なぜ必要なのでしょう。

これは、製造業と消費者を繋ぐ「製品」と「価値」に強く関連します。

1947年米国GE社のL.D.マイルズ氏によって開発され、1960年頃日本に導入されたVE(Value Engineering:価値工学)では価値を以下のように定義しています。

「 価値(Value)= 機能(Function)÷コスト(Cost) 」

これによると高機能な製品を低コストで提供できれば、価値は上がるということになります。

つまり 「 機能(↑)÷コスト(↓)= 価値(↑) 」

しかしながら、消費者が「高機能なのはいいが使いにくい」「そこまでの高機能は必要ない」と感じた場合、つまり高機能が消費者に理解されなくなった場合(顧客価値の頭打ち)どうなるのでしょうか。

それは、先ほどの式の分子:「機能」に上限が設定されることを意味し、分母のコストで勝負する、価格競争力が価値を上げる唯一の手段になってくることになります。

家電市場において製品のコモディティ化(均質化)により、海外製品との価格競争による収益性悪化が叫ばれているのも、長くメディアで伝えられていることでもありご存知のことかと思います。

価値を「使用価値」と「貴重価値」に分けた場合、後者の「貴重価値」に対して強みを生かしてきたのが前述のドイツではないかと思います。

貴重価値を高める「第4次産業革命」

競争優位性を維持するうえでブランド・エクイティ(ブランドが持つ資産価値)の構築が重要な要素の一つであることは間違いないでしょう。

しかしながら、永続的な競争優位性が約束されるものであるかについては、疑う余地があります。

なぜなら、ブランドに興味を示さない顧客セグメントが、とりわけ若い世代に多くなってきている状況にあるからです。つまり「ブランド」保有による他者からの承認欲求ではなく「自分らしさ」を追及したいという欲求です。

これは「自分らしさ」を形にした、自分だけの商品を持ちたいという欲求、いわば貴重価値の欲求です。

ここで人が持つ欲求について「マズローの欲求の5段階説」を例に考えてみます。

マズローの欲求

という5段階の欲求があり、1が満たされると順に上の欲求段階に上がって行くものとされています。「ブランド」と「自分らしさ」は、この位置となります。

マズローの欲求

「第4次産業革命」には、マスカスタマイゼーションで「自己実現の欲求」に響く新たな価値の創造、価格競争力又はブランド・エクイティによる優位性だけではない、新たな競争優位性の確立、またこれらの価値を理解できる新たな顧客層の創出。

このような可能性があります。


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執筆 : 経営企画室 Y.I.