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品質に対する姿勢

2016年8月31日

私は、お客様の製品を取り扱う部署におり、品質維持を心がけています。今回は品質について5Sをもとに、掘り下げて考察しようと思います。

品質規格の沿革

戦後、デミングのサイクル理論(後のPDCA)により品質管理の手法が体系化され、日本の産業にも品質管理(QC)が確立し、”日本品質”を掲げて品質管理はバブル崩壊まで一気に成長を遂げました。

バブル崩壊後はグローバル化の波、情報社会の先駆けであるインターネット技術が押し寄せてきました。その頃には、QCを基盤としたTQC(全社的品質管理)やTQM(総合的品質管理)という品質管理の考え方がありましたが、時代に合う品質要求レベルが高くなり、世界規格であるISOブームが到来しました。

利益のための品質管理

そもそも、ISO(TQM/TQC))は、何の目的で運用する必要があるのでしょうか。それは「企業の利益」のためです。

利益を上げるためには、商品を効率よく生産・提供することと、品質や作業工程の管理を効率よく行う必要があります。

5Sの励行でISOが充実

品質管理には、皆さんもご存知の”5S(goesu)”があります。

製造業等で3S「整理・整頓・清掃」として使用されていましたが、これに「清潔・躾」が加わり5Sとなったものです。

”5S”は日本の文化なのでISOでは言及されていませんが、ISOで言う「識別やトレーサビリティ、記録管理」の実行には”5S”は不可欠です。

  • 「整理」は「区分けし、不要なものを撤去すること」です。
    判断基準は 「時間」 を根拠として 「今、いつ、いつまでに」 の要素で 「必要か必要でないか、重要か重要でないか」 の判断で不要なものを排除します。生産性の向上や職場管理の基本は「整理」から始まります。
  • 「整頓」は「必要なものを必要な時に、必要なだけ効率よく取り出せる状態にすること」です。
    整頓が必要な理由は無駄を省くためです。整頓が出来ていないと欲しいものがすぐに見つからず、無駄な時間を消費します。
  • 「清掃」は「仕事場にゴミがなく、汚れていないきれいな状態にすること」です。
    掃除をしてゴミを無くす、汚れを取ることです。もっと効果的な方法は「ゴミを出さないこと」「汚さないこと」です。
  • 「清潔」は「整理・整頓・清掃がいつも維持されている状態を保つこと」です。
    清潔は、モラルとルールにあたります。清潔を実践する為にはISOではルール決め、チェックリストを活用するなどしますが、これは社員のモラルがある一定レベルまで上がれば、必要なくなります。ただし、一時的に整理/整頓/清潔を行うだけで、維持するルールがなければ「清潔」は保たれません。
  • 「躾(しつけ)」は「会社の規律やルールが正しく実行できるように習慣づけること」です。
    「躾」とは「身が美しい」と書きますが、「清潔」を維持するためのモラルとルールを浸透させる事こそが “しつけ” です。
    仕事の進め方について、手順やチェックリスト、ISOマニュアルの作成はもちろん、ルールを全員で確認することが重要です。先に述べた、整理・整頓・清掃・清潔の状態の基準が明確になっており、常に守る習慣をつけることです。

習慣(ルール)を策定する際は、「ちょっとぐらいなら・・・」「これくらいなら・・・」「忙しいから後でまとめて・・・」が入り込まないルール作りが成功の決め手となります。

5Sが実践できていないと、ISOで要求されている事が満たせなくなります。 そこで、ISO要求事項と5Sの関係をみてみましょう

ISO9001の条項と5Sの関係

4.2.3 文書管理 では

『d)必要な時に必要なところで使用可能な状態にあること』
『e)識別可能な状態であること』
『g)廃止文書が誤って使用されないようにすること』

5Sが出来ていない場合…

「必要な文書がどこにファイルされているかわからない」
「肝心な時に見つからず、探すのに時間を浪費する」
「廃止文書を誤って使用してしまう」

6.2.2 力量、教育・訓練及び認識 では

『b)必要な力量に到達できるよう教育訓練を行う、又は他の処置をとる』

5Sが出来ていない場合…

「作業を手順通りに行っていない」
「治工具をもとの場所に戻していない」
「設備の日常点検清掃を行っていない」

6.4 作業環境 では

『必要な作業環境を明確にし、運営管理しなければならない』

5Sが出来ていない場合…

「不必要なものが製品と混入してしまう」
「必要なものが必要な時に利用できない」
「通路に物が置かれており、通行の邪魔をして事故が起きる」

7.5.3 識別及びトレーサビリティ では

『適切な手段で製品を識別しなければならない』

5Sが出来ていない場合…

「この製品が何なのかわからない(製品名?型式?ロット?)」
「どういう状態なのかわからない(仕掛品? 検査待ち? 完成品?不適合品?)」

5Sが出来ていない状態では、ISOの要求事項を満たせませんが、5Sを徹底することで、ISOの要求事項のかなりの部分は満たせるとも言えます。

最後に

5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾、どれも当たり前のことです。

この当たり前のことを、日々、一つひとつ実践することが結果的には良い組織を作る近道になると思います。

昔からある「5S」を今一度、チェック項目として利用し、組織全体の見直しを図ってみてはいかがでしょうか。

執筆 : 厚木事業所 N.S.