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公衆交換電話網の廃止って?

2017年2月27日

公衆交換電話網をご存知でしょうか?簡単に説明すると、家庭や企業に敷設されたNTTの加入電話やISDN電話を繋ぐための電話網です。昔は、受話器を取ると一旦電話交換手に繋がり、「○○さんへ繋いでください」とお願いすると電話交換手が配線を繋ぎ変えていました。スタジオジブリの映画「となりのトトロ」では、さつきがお父さんに電話するシーンででてきましたね。

現在は、機械化されており、中継器や交換機で構成されています。
2015年11月にNTTは、この公衆交換電話網を2020年から2025年にかけて順次IP網に移行する構想を発表しました。

その主な理由は2つです。1つは、ブロードバンド回線や携帯電話・IP電話の普及による契約数の減少です。もう1つは、中継機・交換機の老朽化および製造終了にともなう設備の維持限界を迎えることです。

データ通信ができなくなる!?

IP網への移行で困ることは何でしょうか。NTTは音声通話やナンバーディスプレイ、公衆電話など基本的な音声サービスは継続して提供するとしています。しかし、IP網への移行に伴い、幾つかのサービスは廃止するとしています。その中で最も影響が大きいのが、「INSネット(デジタル通信モード)」の廃止ではないでしょうか。

これは電話回線を介して、デジタル通信を可能にするサービスです。現在の様にブロードバンド回線が普及する前は、インターネットを利用するためにダイヤルアップ接続で利用していた方も多いでしょう。また意識されることは少ないですが、現在でもコンビニ・スーパーのレジで使用されるPOSシステムや銀行ATM、企業間の取引で使用されているEDI(電子データ交換)で多く利用されています。

弊社にも、データ交換用回線やサポート回線、専用線のバックアップ回線に利用しているお客様が多くいらっしゃいます。これらの業務を継続するために、どのような手段がとれるのでしょうか。

INSネットの代替手段

別の手段として想定されているネットワークの中心は光回線のようです。しかしその光回線にも2つ課題があるように思われます。

1つ目はカバー率です。固定電話回線は日本のほぼ全域をカバーしていますが、光回線はカバー率90%を超えている程度。実際に回線を用意しようと思うとまだまだエリア外である事が多々あります。

2つ目は開通までの期間です。固定電話回線は早ければ1週間~2週間で開通可能ですが、光回線はサービスエリア内であっても工事が1ヶ月、2ヶ月待ちとなることもあるようです。弊社でも急ぎで回線が必要な時に苦労しています。(キャリアさんにはいつも無理を聞いていただき感謝しています!)

最近では、イベント会場などの短期間の通信にはモバイルルータやモバイルカードなどを利用することが多いようです。弊社でも短納期での提供が可能であることに魅力を感じておりその効果を検証していますが、モバイル特有の利用環境(電波状況による影響)が今後の課題と認識しています。

EDIを始めとした各システムはこれらネットワークをただ利用した方式に対応していることが多く、使用できなくなる前に手を打つことが可能です。通信方式の変更に伴い、通信機器の取り替えやシステムの改修、通信相手との調整が必要ですので計画性をもって切り替えていく必要があります。 また、当面の補完策として、「メタルIP電話上のデータ通信」も検討されていますが、現時点では利用者による動作検証中のようで、サービスの提供は未定のようです。

このように現在、総務省の情報通信審議会を中心に固定電話網の円滑な移行方法を検討しているようですが、できるだけ早く指針を示していただきたいものですね。

執筆 : 技術部技術一課 係長 M.U.