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物流アウトソーシングを成功させるポイント

2020年1月29日

 今回は、1つ目の3PL事業者へ提案を依頼するフェーズについて、『3PL事業者選択プロセスにおけるポイント』をお話させて頂きます。

Vol.1 3PL事業者選択プロセスにおけるポイント【提案依頼フェーズ】

 3PL事業者を選定する際には、複数の3PL事業者に声を掛け、提案を依頼する『3PLコンペ』を開催します。その際に、荷主企業から3PL事業者へ適切に情報を伝えないと、期待する提案を受けることができないため、どのような情報をどのように伝えるべきかが重要となります。

3PL利用目的を明確化すること (評価のポイントにもつながる)

 3PLコンペを開催する際には、まず、3PLを利用する目的を3PL事業者へ明確に伝える必要があります。3PLを利用する目的としては、大きく分けてA~Dの4つがあります。

 A:3PL事業者の専門スキルによる物流改善

 ・物流コスト削減
 ・物流サービス向上
 ・物流品質向上
 ・物流管理レベル向上

 3PL事業者の保有する物流ITソリューションや改善ノウハウなどの専門スキルの利用には、「物流コストを削減したい」または「物流サービスを向上したい」、「物流品質を高めたい」などの目的があります。また、入出荷作業から配送までの物流プロセス全体の管理や、物流センターが複数拠点存在する場合の在庫管理(拠点間の在庫コントール)などの「物流管理のレベルを高めたい」といった目的もあります。
 このような場合には、単なるコスト比較で評価するのではなく、現行の物流ネットワークや物流業務をどのように変革させるかという考え方も含めて評価することが必要となります。

 B:単なる作業の外部委託

 ・自社で対応している作業を外部委託し、本業に専念

 自社で対応している実作業を外部委託することで「本業に専念したい」というシンプルな目的もあります。このような場合には、いかに低コストで作業を委託できるかが評価ポイントとなります。但し、コストとサービスはトレードオフの関係にあるので、どのような作業方法でどのように品質を確保できるかを3PL事業者より説明を受けて、それらも含めて評価することが必要となります。

 C:物量波動への対応

 ・自社のみでは吸収できない特定の月/日/曜日における物量増加への対応

 自社では対応しきれない「物量や作業量の波動に対応する」ために、外部リソースをうまく活用したいといった目的もあります。このような場合には、どのような方法で変動する物量を吸収するかがポイントとなりますが、その方法が具体的かつ現実的であるかを確認して評価する必要があります。

 D:ビジネス環境の変化に対する物流への投資の抑制

 ・売上拡大や取扱商品増加に伴う物流センターのスペース不足
 ・新規事業またはエリア拡大に伴う物流の再構築

 最後に、自社アセットにて物流業務を運用されている場合には、ビジネス環境の変化へ対応することも必要となります。売上拡大や取扱商品拡大に伴う物量の増加によって、物流センターがスペース不足になるという課題をお持ちの企業は少なくありません。
また、新規事業への進出や、販売エリアの拡大といったビジネスチャンスに対して、物流への投資を抑制するために3PLを利用したいという目的もあります。このような場合も、単純なコスト比較ではなく、変化する物流をどのように分析して捉えているかが大切です。また、荷主企業の今後のビジネス展開も踏まえて、どのような物流構想を描いているかも合わせて評価することが必要となります。

 このように、どのようなビジネス背景があり、どのような目的で3PL利用を検討しているかを、3PL事業者へ包み隠さず明確に伝えることをお薦めします。これにより、3PL事業者側は自分達に期待されている内容を十分に検討することができるため、荷主企業側の目的に沿った提案をすることができます。

3PL事業者への委託範囲を明確化すること

 次に、3PLコンペを開催する際には、3PL事業者へ委託する業務内容・範囲を明確に伝える必要があります。現在、3PLサービスを提供している3PL事業者は、従来からの物流センター作業や輸配送の業務代行といった実運用の請負だけでなく、請負業務範囲を拡大していますので、それらも含めて有効に活用することをお薦めします。

 図1は、物流の活動領域を「戦略」「企画・計画(運営管理))」「運用管理」「運用」の4つのレイヤーに分けて表現しています。最上位にある「物流戦略立案」は、荷主企業の重要な役割となりますが、「運用」といった作業・輸配送だけでなく、「運用管理」「運営管理」といった役割も3PL事業者によってはサービスを提供しています。

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図1 物流の活動用域

 もちろん、「運用」だけでなく、上位の「運用管理」「運営管理」の部分も委託する場合には、3PL事業者の管理工数も大きくなるため、業務委託する費用も高くなります。そのため、物流の活動領域のうち、どこのレイヤーまでを委託したいのかを、明確に伝えることで、委託する範囲に合わせたサービスおよびコストの提示を受ける必要があります。このように明確にしないと、例えば、「(荷主企業)物流センター内の単純作業だけを期待していなかった。」とか、「(3PL事業者)そんな管理業務まで見積には含まれていないのに。」といった双方の思い違いが発生してしまい、運用稼働後にトラブルの原因となってしまいます。

 また、図2のように、3PL事業者は物流領域だけでなく物流の前後のプロセスもサービス提供している場合もあります。例えば、受発注業務やコールセンターなどの業務代行であったり、受注情報に基づいて出荷・流通加工・配送の計画を立案するなどの物流の前段取り業務をサービス提供している3PL事業者もいます。また、物流センターから運送会社への商品の引き渡しまでではなく、得意先への納品予定情報の連絡であったり、納品完了までの確認業務などの物流の後段取り業務までをサービス提供されている3PL事業者もいます。

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図2 3PL事業者のサービス範囲

 このように、3PL事業者のサービス提供範囲が「作業から計画・管理まで」、また、「物流だけでなくその前後の工程まで」に拡大されていますので、各3PL事業者のサービス範囲・内容をよく知ることが必要となります。但し、サービス提供範囲は各3PL事業者によっても表現の仕方が様々であり、各社のホームページを見ても分かりにくい場合が多いと思います。そのため、3PLコンペの際には、どのような領域までを任せたいかを伝えることで、3PL事業者より、「この範囲までできる」とか、「このようなレベルであれば対応できる」など、提案可能な範囲とその内容を明確に提案させることで、3PL事業者の提供する有益なサービスを把握することができます。

プロジェクトチームを発足すること

 3PL利用の目的や委託範囲によっては、前述の通り、物流領域だけに限らなくなるため、営業や生産部門の考えも考慮することが必要です。また、自社の販売管理システムと3PL事業者の保有する物流管理システムとの連携は必須ですので、システム部門の協力も欠かせません。このように、3PLコンペを開催するにあたっては、物流部門だけでなく、営業部門や生産部門、システム部門も巻き込んだ3PL化プロジェクト発足が必要となります。

 図3は物流の活動構成要素を示していますが、図の通り、営業部門にて決定する「顧客サービス」が最上位に位置付けられ、その要件に基づいて、物流ネットワーク構造が決まり、さらに、倉庫・輸配送・需給の管理方法が決められます。

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図3 ロジスティクスピラミッド

 例えば、「日本全国の得意先に対して受注翌日納品」といった顧客サービスを定めた場合、どのように商品を生産・調達し、在庫をどこにどれぐらい保有し、どのように得意先へ納品するかが決定されます。つまり、顧客サービスによって、物流センターの拠点数や場所や大きさ、また、物流センターの作業方法や輸配送方法が決定されます。よって、3PL事業者の提示する物流提案を評価するには、物流部門だけでなく、営業部門や生産部門などの評価も必要となります。
 3PL事業者を選定して、具体的にプロジェクトが開始されてから、他部門との交渉を進めるのではなく、3PL事業者を選定するタイミングから他部門も巻き込んでプロジェクトチームを発足し、会社全体で評価・選定することをお薦め致します。

 今回のコラムでは、3PL事業者へ提案依頼する際のポイントとして、「3PL利用目的を明確化すること」と「3PL事業者への委託範囲を明確化すること」の重要性をお伝え致しました。また、これらを決定する際には、「全社的なプロジェクトチームを発足すること」の必要性をお伝え致しました。

 次回は、3PLコンペ開催にあたって、3PL事業者へ開示すべき情報や、見積条件の提示方法など、具体的な手順について、お話させて頂きます。

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