ホーム > 早川典雄のロジの素 > 第5回 ビッグデータ&アナリティクスを物流革新に活かす


第5回 ビッグデータ&アナリティクスを物流革新に活かす

2015年4月16日
取締役 物流技術担当 博士(工学)早川典雄

モバイル端末の進化や、ソーシャルメディアの発展によって、多種多様なデータがリアルタイムに蓄積できるようになっています。また、蓄積された大量のデータを扱うITの急速な進化に伴い、「ビッグデータ」を経営資源としてビジネスに積極的に活用する動きが活発化しています。ビッグデータというキーワードが注目され、経営者の中には、同業他社の成功体験を見聞きし、何かしら経営に効果をもたらすのではないかという漠然とした魅力を感じている方も多いでしょう。

ロジスティクス・アナリティクスがビジネスを変える

総務省の平成26年版情報通信白書にある「データの高度な利活用による業務・サービス革新が我が国経済および社会に与える波及効果に係る調査研究」の結果によれば、ビッグデータの活用に、つぎの3つの課題があることがわかります。

  1. ビッグデータをどう分析して何に取り組むのか、その目的を明確にすること
  2. 蓄積された膨大なデータの関連性、相互関係を正しく認識、統合化すること
  3. データを分析する人材の育成やITインフラを整備すること

総務省平成26年版情報通信白書

これらの課題は、企業経営において、「目的の明確化」、「人材の育成」および「体制の整備」の3つの課題に置き換えられます。

アナリティクスは、例えば、ロジスティクス活動におけるさまざまなデータを分析し、在庫、倉庫および輸送の現場業務やマネジメントにおける具体的な改善の成果を獲得するまでの一連の活動に役立ちます。したがって、ロジスティクス・アナリティクスは、単に物流データを分析するだけでなく、改善成果の獲得までを含んでいます。

では最後に、ロジスティクス・アナリティクスの5ステップを紹介いたします。

  1. ロジスティクス改善仮説の導出
    改善の成果を獲得するためには、「達成目標の設定」が最も重要です。この設定により、収集すべきデータを明らかにします。収集されたデータに基づいて分析しますが、ロジスティクスの改善にとって意味のあるデータが抽出されているかがポイントです。抽出されたデータに洞察を加え、改善のための仮説を構築します。
  2. 実行計画の検討・決定
    仮説に基づいて実行計画を明確化します。計画は、実行の環境や体制の整備・構築、業務フロー、ITおよび組織の見直しを対象に立案します。
  3. 実行計画の実践
    実行計画を遂行し、実践についての評価を行います。ここでは、新たな知見の取り込みを行います。
  4. 継続的な改善
    改善は1度だけ行うものではありません。PDCAサイクルを回し、設定した目標が達成されるまで、効果の確認を続けます。
  5. 成果の獲得
    施策の実行により、売上が拡大したのか、物流サービスが向上したのか、物流コストは削減されたのか、といった成果を獲得する必要があります。このため、物流人材の育成や物流リスク低減への手当を同時に行う必要があります。