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第4回 モバイルの浸透で
ビジネスがリアルタイムに動く

2015年3月24日
取締役 物流技術担当 博士(工学)早川典雄

モバイルデバイスは、ビジネスや業務のスタイルを「リアルタイム処理型」に変える手段となって、物流現場の「いま」を映し出し、「いま」を管理する能力の強化に貢献しています。例えば、生産・販売・物流における活動(アクティビティ)の情報をリアルタイムにモニタリング、収集し、活用することで、ビジネスにおけるチャンスを高め、リスクを減らすことが期待できます。

イベントが起きるのは、いつも「現場」

モバイルは、ビジネスにおけるITツールとして急速に浸透しています。企業におけるモビリティは、このモバイルを活用した「仕事の可視化」、「役割の明確化」、「方法の標準化」を実現する手段です。例えば、仕事のやりかたやスタイルは、デスクトップ型から持ち運びに便利なノートPC、そしてスマートフォンやタブレット端末が加わったことで、ずいぶん変わってきました。

モバイルがもたらすビジネス上のイノベーションは、ビジネスや業務のスタイルが「リアルタイム処理型」になるということです。これを、一定の期間に蓄積されたビジネスや業務の情報をまとめて処理する「バッチ処理型」と対比し、「リアルタイム業務」と言います。

これまで、「リアルタイム業務」が実現されなかったのは、実現に必要な技術の不足や経営者のモバイルに対する重要性の認識の欠如が一因と考えられます。その意味では、モバイルの急速な浸透は、それが本来持つ技術的な特徴をようやく活かせる時代になったと言い換えられます。

高度情報化社会と言われて久しい中、これまで、リアルタイム業務がなかなか進展しなかった背景には、コンピュータシステムの使い手より作り手に問題がありました。コンピュータ資源に限りがある場合、システムの作り手への評価は、その使用をいかに最小化できたかで決まるからです。資源の有効活用は常識であり、その常識に基づいて、コンピュータ資源の使用を平準化するために工夫が繰り返されてきました。

バッチ処理型のシステムは、例えば、金融業における取引データの夜間処理、製造業や流通業における在庫更新の一括処理に見られます。情報技術やコンピュータ資源を制約とする必要がなくなってきた今、コンピュータシステムの作り手は、これからのビジネス要件である「リアルタイム業務」を新たな常識として、これまでの常識を打破しようという姿勢が必要です。

モバイルの浸透でビジネスがリアルタイムに動く

モバイルとのリアルタイム連携は、大量の物流データがかつてないスピードで作業員の業務のスピードと品質を向上させます。リアルタイムKPIツールは、組織が全体としてどの程度うまく運営されているかを示すため、データを集め、その物流現場の状況を時々刻々と提供します。

例えば、時間単位で作業の割当変更や改善を施し、1時間毎の成果や実績のギャップから、次の一手を試行していきます。1ヶ月間の実績から次月の改善に向けて手を打つのではなく、1日の間に何回も手を打つことで、高サイクルな改善ができます。そして、「現場でいま何が起きているかわからない」「必要とする情報が伝わらない」という問題に対して、高速にデータを統合し、現場の「いま」を可視化します。

生産現場では、生産ラインの状況や変化の「見える化」ができていない場合、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。生産は、特に、計画・段取りが重要な業務です。営業と生産が進捗状況を共有できれば、「何を、いつ、いくつ作るか」を需要に合わせて修正できます。また、生産するモノや順序、納期の変更に関する協議も可能になります。

一方、物流現場における出荷ミスや納期遅延は、荷主企業と物流企業の双方が期待した利益を失うだけでなく、サプライチェーンの一翼としての信頼を損ないます。また、作業の進捗状況や変化をリアルタイムに把握できない物流現場では、事後処理対応に追われることがしばしば発生しているのも事実です。

生産や物流におけるアクティビティ情報をリアルタイムにモニタリングし、収集できれば、現場に迅速な指示ができるようになります。現場に対して、前向きで迅速な対応を指示しようとする場合、情報の収集自体が効率的でなければなりません。また、経営と現場、部門間の連携による組織力を最大限に発揮するためには、リアルタイムな情報共有が条件になります。

これからモバイルの活用でビジネスのスピード感は早くなっていきますが、使う側はその利用価値や利用方法を正しく把握する、これが重要です。