西濃運輸

活躍する社員

西濃運輸人事部人材開発チーム 永田聖菜美さん(2017年12月06日)

Profile

永田聖菜美(せなみ)
西濃運輸人事部人材開発チーム インストラクター

岐阜県出身 25歳

2014年西濃運輸入社。1年間の東京支店での研修を経て市川支店に配属。17年3月から女性初の人材開発インストラクターとなり、教育・研修の面から女性の活躍推進をけん引する役割を担う。ライフル射撃の選手として国体への出場や、全国高校選抜大会で2位になるなどの横顔も持つ。


 ライフル射撃というと、どのようなイメージを持つだろう。銃を
構え、照準器を覗き、的を定めて引き金を引く。オリンピック種目でもある同競技は、スポーツでありながら集中力が勝敗を左右するため、老若男女誰もが楽しめるものでもある。言い換えれば、常に成長が望める、完成しないスポーツでもある。そんなライフル射撃の魅力に取りつかれた永田は、仕事でもステップアップを求め、セイノーホールディングスが公募を行なった女性の人材開発インストラクターに手を挙げ、見事その座を射止めた。

【常に成長が望める魅力

 吹奏楽部の活動に夢中になっていた中学生の頃、
永田はシドニー・アテネ五輪で射撃のナショナルチームの監督を務めた藤井優氏の講演会に母の勧めで参加し、その後の体験会で初めて銃を構えた。すると初心者の中では的に当たる方だったようで、思いがけず岐阜県ライフル射撃協会の人から「筋がいいのでやってみないか」と誘われた。それから部活がない日には、市内の射撃場で遊び半分で射撃をしていたという。本格的に始めたのは高校になってから。大学への進学を念頭に置きながら、ライフル射撃部がある高校を選んだ。小さい頃から体を動かすことが好きだったが、小柄な体格は運動競技では不利になることが多かった。その点、体格差によるハンディがないライフル射撃は、永田にとってとても魅力的だった。
 「ライフル射撃は、一定水準の技術を習得出来れば、あとはひたすらメンタルのスポーツです。いかに自分の迷いに自分で勝つか、それが一番大きい。そこが難しいところであり、一番面白く燃えるところなのです」
 構えると、いつも同じ位置に銃口がくるようにする。そうできれば覗いてから撃発まで短時間で済む。撃つまでは息を止めるので、これが理想だ。しかし普段から「これぐらいでいいだろう」と適当に構えていると、覗いている時間が長くなって、頭にうまく酸素が回らず、目も霞んでくるそうだ。50m先の的を狙う女子の娩技では、膝射・伏射
立射の三姿勢で、各20発の合計60発で点数を競う。制限時間は1時間45分と長丁場だ。
 「私はメンタルを常に良い状態に保てるよう、悩んだら常に人に話すようにしていました。すると解決するかは別にして、周りの人も不調な点に気付いてくれて、アドバイスをもらえたりしました」
 一人で悩みを抱え込んで調子が良くなる人は、自分の周りにいなかったと永田は言う。だからこそ、なるべく多くの人の意見を聞いて、自分に合うか合わないかを判断していたそうだ。そうやって練習を積み重ねた永田は、高校2年生の冬、全国高校選抜大会ライフル射撃(女子ビームライフル立射40発)で2位という好成績を収めることとなる。
 「選抜で2位になり、複数の大学から声を掛けてもらいました。スカウトマンの目に止まったことで、自分が大学でも通用するレベルにあるのだと知りました。そこから、大学でも勉強と射撃を両立できるのではないか、という気持ちが強くなりました。関西大学の監督と話をした時に、大学でどうしたいのか聞かれました。私は射撃と同じように勉強もしたいと伝えると「したらいいやん、勉強』と。それが決め手になりましたね。他の大学は、大学生活は部活優先にという話がほとんど。その中で、関大の監督が、自分の想いを一番尊重してくれていると感じました」
 大学生となり、海外の大会にも出場するような先輩に刺激を受けながら大学生活をスタートさせた永田は、ここで1つの転機を迎えることになる。夏頃、今までと同じようにやっているはずなのに、上手く的に当たらなくなってしまったそうだ。悩んだ末に高校時代と同じように、当時の主将に相談した。すると「同じことしているから、当たらないんじゃないの」と、思いもよらない回答にハッとした。これまでいつも同じリズムで出来るよう反復練習をしてきた永田にとって、先輩の言策はまさに青天の露霞だった。
 「大学から体幹トレーニング等を始めたことで、体つきが変わっていたんです。それなのに、同じ構えで撃とうとしていたことに気付かされました」
 それ以降、しっくりしない時にはどこが悪いかを見極め、その時その時の自分に一番合う形を探すようにした。すると調子は上がり、学内でレギュラーにも選ばれ、学生時代には西日本学生選手権で個人・団体とも優勝、学生選抜大会では団体1位、個人2位という成績を残していく。

【次の成長の場として選んだのは】
 ライフル射撃は、大学卒業後も地域のクラブ等に所属して続けることは可能だ。しかし実業団とは違い、あくまでも競技は、休日等の時間を当てなければならない。永田も就職活動を始めた。西濃運輸に興味を持ったきっかけは、会社説明会で「全員野球」の話を聞いたことだった。同じようにスポーツに情熱を傾けてきた永田にとって、野球部の協力する姿は理想的だと思えた。また東日本大震災の時の輸送再開の話も、永田の心に刺さるものがあった。採用選考は順調に進み、人社後は東京支店で研修を行うことになった。営乗研修の合間にも休日には千葉の射撃場で練習を続け、その年には3度目となる国体出場も果たしている。
 「大学時代は、授業が1コマあいたら校内の射撃場へ行くほど練習をしていました。しかし今は、月に1度程度になることもあります。それでも私は生涯現役で射撃をやっていきたい。これからも毎年国体の予選には出るつもりです」
 射撃の魅力は、いつまでも完成しないことだと言う。その時のコンディション、体力、筋肉の付き方、そんな僅かな違いから大きな差が生まれてしまう。今調子が良くても、5年後も同じことをしていては恐らく当たらない。いつまでも追及できるのが射撃の魅力だと永田は力をこめて言う。そんな向上心の塊のような彼女は、仕事でも常に成長の場を追い求めている。


 人社2年目に市川支店に配属されると、発送業務に当たった。1つ印象的な出来事があったと言う。あるお客さまから大型船の部品だという重量物を、翌日に広島の離島へ到着させたいという相談が寄せられた。通常の路線便には載らない。永田は色々なところへ閻い合わせをして、どうにかして配達する方法はないものか、手を尽くして調べた。結果的に金額的な折り合いが付かず出荷には至らなかったが、お客さまが「こんなにもやってくれて良かった」と感謝していたと、担当するドライバー経由でも伝えてもらい、嬉しさがこみ上げた。そして支店で3年目を迎えようとしていた時、研修センターで女性のインストラクターを募集していることを知った。インストラクターのように人に教える仕事は、自分自身も常に勉強が必要だ。是非、新しいことを学んでもっと成長したいと望んだ。

 「私は研修に参加する度に、自分のためになったと感じていました。そのため今は公募制の研修も増えているので、女性の参加者ももっと増えて欲しいと思っています」
 この春には、さっそく高卒女子の新入社員研修を担当した。これから始まる社会人生活での彼女たちの不安を少しでも解消しようと、自身が店所での失敗談なども盛り込みながら一生懸命講義を行なった。すると彼女たちは何度も頷き、積極的に質問をし、見るとどんどん顔つきが変わって「頑張ります!」と約束して帰っていってくれた。まだ手探りの状態だが、この仕事に確かなやりがいを見つけた。
 「“初めての女性インストラクター”見たさでもいいので、研修に参加してくれる人が増えるといいと思っています。でも本当は、女性がいることが自然になるのが良いことだと思います」
 少しでも研修に興味を持ったあなた!思い立ったら吉日!!進んで研修に参加してみましょう。永田からもっと面白い話が聞けるはずだ。


(文中・敬称略)


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