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企業分析で気をつけるべきポイント(3)

こんにちは、セイノー情報サービス採用担当Aです。
 
さて、企業分析シリーズもようやく最後の記事までたどり着きました。
就職活動には分析系To Doとして自己分析/企業分析/業界分析という3種がよく挙げられますが、自身が就活をやっている時からやはり一番重要なのは「企業分析」という考えはいまだに変わっていません。
その理由は当シリーズの過去記事を拝読いただく事として、今回はその締めとして、もっとも重要な対象企業の将来を想像する方法をお伝えします。
世間では大は小を兼ねるということわざが良く使われますが、意外にも小は大を兼ねる一例をご覧ください。

3,その業界や会社の将来像を知る~スーツと漫画喫茶とフィットネスジム~


いきなり自社の話で恐縮ですが、SISでは2年程前からオフィスカジュアル制度が東京本社でスタートし、今年の10月からその対象範囲が岐阜のソフトピア事業所にも拡大されました。その結果、社員は内勤時には必ずしもスーツの着用は必須ではなくなり、カジュアルな装いの社員も徐々に増えてきました。
こうした流れは都心部を中心とした日本全国の企業から徐々に浸透が始まり、結果として働く際にはスーツ着用、という固定概念は薄れつつあります。

さて、ここからが本題です。そうなった場合にビジネススーツを販売している各社はどうなるのでしょうか。
該当業界にはスーツの青山、AOKI、はるやまに代表される大手企業が多数存在します。ここで文章を読むのをストップして、少しご自身で考えてみてください。


いかがでしたでしょうか。
売上が低下し、利益が下がる、将来的に大幅な人員削減が起こる…。
色々な意見が出てきたと思いますが、結論から言うと、各社ともに一般消費者をメインターゲットとした新たな商品・サービス提供分野を拡大していく、になります。
上記の3社はおおよそ1960年~1970年代に創業されました。
当時の時代背景としては、これまでの農業や漁業といった第一次産業から第二次、三次産業への産業構造のシフトが挙げられます。また2回のベビーブームを経た結果として、企業の成長は人口増加の内需に支えられた事、さらには、第二次世界大戦後、西洋文化やファッションが積極的に輸入された結果も相まって、紳士服の需要もかなり高かったことが予想されます。

しかし、そこから国内全体は緩やかに人口減少が進み、直近ではECサイトの増加によるネットショッピングや、ショールーミング化といった消費者行動の変容、さらには当業界独自の大幅値引き前提での金額設定等が相まって、各社ともにビジネスウェア領域では徐々に売上が減少傾向にありました。ここから各社はどの様な施策を実施してきたのでしょうか。

最も分かりやすいのがAOKIホールディングスです。
当社はすでに結婚式等を手掛けるブライダル事業、漫画・インターネット、ビリヤード・ダーツ等の複合施設を有する「快活CLUB 」 、24時間営業のフィットネスジム「Fit24」等、BtoC向け事業を幅広く手がけています。この例を見てわかる様に、既にAOKI=スーツという考えは古いことになります。

またスーツの青山でおなじみの青山商事に至っては、2019年、会社の基本方針が「より良い物をより安く洋服の販売を通して社会に貢献する」から、「持続的な成長をもとに、生活者への小売・サービスを通じてさらなる社会への貢献を目指す」に変わりました。その証拠に当社では100円均一のDAISO、食べ放題サービスの焼肉きんぐ、ゆず庵、リサイクルショップの2nd STREETのFC店を展開しているほか、インテリア等を手掛けるWTWを子会社化するなど、新たな事業領域を積極的に拡大しています。


では、そろそろ結論に入ります。
今回、一つの例として提示したビジネスウェア業界に関して、代表的な各企業が実施する取り組みには共通性がありました。それは、既存のビジネスウェア事業の拡大だけに頼ることなく、ブライダル・飲食・ジムといった小売サービスの別領域へ軸をシフトする事です。
ここからわかる様に、こうした各業界のトップ企業が実施する施策それ自体が、業界全体の今後の動きとして収斂されていくのです。これが、前述した小は大を兼ねるの意味です。

就活をしている皆さんに向けて別の視点から付け加えると、業界分析→企業分析の手順は言ってみれば過去に確定された結果の振り返りでしかありません。BUCAの時代といわれる現在においては、企業分析→業界分析のステップを行う事によって、リアルタイムに変容する対象業界の実情を把握する事ができます。
そして、この地道な取り組み自体が、あなたの10年後の仕事内容に繋がってくるでしょう。スーツ、紳士服の販売接客がやりたいと思っていたのに、全く関係のない分野で仕事をすることになった、または、今後ますますビジネスウェアのニーズが下がり、最終的には当事業から撤退する事になってしまった…。
こうした事態を正確に予想する事は出来ませんが、それでもそのリスクを考慮することはできます。
何十年単位と働き続ける環境を決めるのは今しかない事を考えると、「まずは企業分析から」としつこくお話してきた理由が皆さんに少しでも伝われば幸いです。
(具体的な企業分析の方法は、22卒向け秋冬ISにて開催中の企業分析コースにてお伝えしております。ご興味のある方はぜひ、リクナビ、もしくはマイナビからご参加お申込みの程、よろしくお願いします)

最後に、つい最近青山のリアル店舗を訪れた際の話をもって、当記事を締めたいと思います。

ちょうど1カ月程前、通勤で用いる新しい革靴を購入し、それ用のシューキーパーを一つ買いたいと思っていた矢先、青山のメルマガで1000円オフクーポンのお知らせが入っていました。最近はめっきりネットで購入する事が多くなっていましたが、上記の事もあり、久しぶりに最寄りの店舗を訪れてみる事にしました。

店舗に入り、さっそく該当商品を手に取っていると、どの様な商品をお探しでしょうか、と物腰の柔らかな店員の方が声をかけてくれました。
事の背景を説明し、ネットで事前に口コミを調べたこの商品を購入しようと思っている旨を伝えると、店員の方はそれではこちらの商品もおすすめできます、と別の商品を手に取りました。
曰く、「シューキーパーには二つの役割があり、①集中的にしわを伸ばす役割、②長期的に靴の形を整える役割、お客様の場合だと、①にニーズが近しいので、ばね式のこちらがよりお求めの商品かと思います」と丁寧に説明をしてくれました。


なるほど、と納得しそちらの商品を購入しようとレジまで移動する中、今度は見慣れない大きなディスプレイが設置してあることに気付きました。
何かと思いその前で止まっていると、「それは日本全国にあるスーツやシャツの在庫の中から簡単に着用イメージを確認できるサービスです」と、再度店員の方が声をかけてくれました。
「ビジネスウェアは見た目が気に入ってもご自身の体型にフィットする一着が店舗に無い物が多いですから」とディスプレイを操作しながら画面上にはとても自身では思いつかないオシャレな着合わせが完成していました。
「この一式ですぐにお買い求めいただく事も可能です」店員の方はにっこりと微笑むと、私をレジまで案内をしてくれました。

家に帰り、店舗で体験した一連の流れを振り返ると、心なしか自分の気分が良い事に気付きました。
言ってみればその場で買った商品は青山でなくても購入できます。もし今回のクーポンが無ければネットでそれより安く購入できたかもしれません。
但し、結局それだけでしょう。残るのはシューキーパーを少し安く買えたという事実だけであり、特に何の感慨もなく一種の物としてそれを使い続けるだけです。

ここまでを振り返ったその瞬間に、これが「顧客体験=カスタマーエクスペリエンス(CX) 」だという事に気付きました。消費者の新たな価値として「モノからコト」への変容と言われて久しいですが、その場で体験した心地よさ(コト=event)こそ、店舗で接客を受けないと得られなかった体験です。
やっぱりリアル店舗はまだまだ強いなあと感嘆しながら、後日メールで送られてきた購入アンケートの評価を星5つにして送信しました。

最近では業界分析や企業分析の手法が書籍化されていたり、先輩たちのESが公開されていたりと、就活に関する情報がとにかく溢れていますが、そんな時こそ、こうした生きた知識、自身が身をもって体験した事柄や、そこから得られたモノの見方を大事にしてみてください。私を含めて、どの人事担当者もそうした本当の皆さんらしさに出会えることを、日々の選考の中でいつも楽しみにしているのです。