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インコタームズ2020

物流用語として使用される「インコタームズ2020」について、解説しています。


インコタームズ2020

インコタームズ2020とは

インコタームズⓇ2020(Incoterms®2020)は、国際商業会議所(以下、ICC)によって定義された商業用語で、国際貿易における買主と売主の責任を取り決める規則です。具体的には、費用(コスト)と危険負担(リスク)が当事者にどのように割り当てられるかを定めるものであり、国際商取引または調達プロセスで広く使用されています。インコタームズⓇの規則は、世界中の商品の売買契約に組み込まれており、日常の取引言語の一部になっています。

現行のインコタームズⓇ2020は、最新の商慣行を考慮に入れており、2020年1月1日に発行しました。


ICCはインコタームズⓇ2020の制定目的をいかのように示しています。
『インコタームズⓇ2020年規則の制定の背景にあって最も重要な決定は、売買契約に対して正しい規則が利用者に選択されるように、規則の提示方法を改善することに焦点が当てられたことである』

インコタームズの規則について

インコタームズの規則はアルファベット三文字で表され、それぞれの規則の下で危険負担と費用負担(運賃や保険、通関業務料金など)を買主と売主がどの時点まで行うべきかをまとめた取引条件です。 ただし、代金や支払い方法、物品の所有権の移転、契約違反の結果などについては定めていませんので、これらの項目は売買契約に基づくことになります。

EXW(工場渡し)


EXWでは買主が、出荷プロセス全体を通じてほぼすべてのコストとリスクを負います。売主の唯一の仕事は、引き渡し場所を指定し、買主に商品を引き渡すことです。商品が買主に渡るとその後の輸送コストとリスクはすべて買主の責任となります。また、この場合のコストとリスクは売主の倉庫、オフィス、または商品が収集されている場所で売主から買主に移ります。つまり引き取るための輸送手段のコスト負担や積み込み時のリスク管理も買主側にあります。

FCA(運送人渡し)


FCAは運送人渡しのことを表し、商品を買主が手配した運送人にどこで引き渡すのかによって2つの意味に分かれます。FCA1(上)は引き渡し場所が売主の敷地内で、商品を買主の手配した運送人に引き渡す場合に使用されます。自社敷地内に引取が来るのでその引き渡しまでが売主の責任となります。FCA2(下)は、売主が輸出用に許可された商品を、自分の敷地ではない指定された場所に配達するときに使用されます。どちらの場合も、商品は買主が指名した運送業者、または買主が指定した別の届け先にて引き渡すことになります。

FAS(船側渡し)


FASでは商品が船の隣に配達されるまで、売主はすべてのコストとリスクを負います。その後、買主がリスクを引き継ぎ、輸出入の通関手続きを行います。

FOB(本船渡し)


FOBでは商品が船内に積み込まれるまで、売主がすべてのコストとリスクを負担します。また、売主は輸出申告を行って許可を得ます。商品が船に積み込まれると、(リスクを含む)すべての責任を買主が負います。

CFR(運賃込み)

CFR(運賃込み)


CFRでは売主はFOBと同じ責任を負いますが、商品を港に運ぶコストも支払う必要があります。FOBと同様に、商品が船に積み込まれると、買主は(リスクを含む)すべての責任を引き受けます。

CIF(運賃保険料込み)


CIFでは売主はCFRと同じ義務を負いますが、保険のコストも負担する必要があります。売主は、請求書と契約の通貨で、請求書の価値の110%以上を保証する保険を購入する義務があります。買主がより包括的な保険を必要とする場合、売主は買主のコストで追加の補償を手配する必要があります。商品が船に積み込まれ出荷されると、リスクは売主から買主に移ります。

CPT(輸送費込み)


CPTには売主にFCAと同様の責任がありますが、売主は運送業者を手配し、配送料を負担しますという違いがあります。FCAと同様にコンテナ船利用のために作られた条件なので、輸入国までの輸送費用を負担するのは売主ですが、商品を運送業者に引き渡した後は、リスクが売主から買主に移ります。

CIP(輸送費保険料込み)


CIPにはCPTと同じような責任が売主にありますが、1つ違いがあります。それは契約で合意された目的地への送料と保険の購入を売主が負担する点です。売主は買主のリスクのために、最高レベルの保険を購入する義務があります。ただし、輸入税や関税など、売り手が責任を負わない費用がいくつかあることに注意することが重要です。買主が指定した運送業者が商品を受け取ると、リスクは売主から買主に移ります。

DAP(仕向地持込渡し)


DAPでは売主が合意された住所に商品を輸送するためのコストとリスクを負担します。商品はその住所に到着し、荷降ろしの準備ができたときに配達済みとして認識されます。その時点でコストとリスクの責任は買主に移転するため、荷下ろし作業におけるコストとリスクは買主に発生します。なお、輸入通関手続きは買主が手配して行います。

DPU(荷卸込持込渡し)


DPUでは売主は、合意された荷降ろし場所に商品を配達するためのコストとリスクの責任を負います。荷降ろし場所に商品を荷下すまでが売主の責任であるため、荷下ろし作業のコスト負担や作業中の商品破損のリスク負担は売主にあります。これはインコタームズⓇ2010で規定されていたDATと同じです。なお、輸入通関および関連する業務の負担は買主が負います。コストとリスクは荷降ろし完了時点で売主から買主に移ります。

DDP(関税込持込渡し)


DDPでは売主が出荷プロセス全体を通じてほぼすべての責任を負います。売主は、合意された住所に商品を輸送するためのすべてのコストとリスクを負担します。また売主は、商品が荷降ろしの準備ができていることを確認し、輸出入の責任を果たし、義務を負います。そのため、通関業務の手配と費用および関税の支払いは売主が負います。合意された住所で商品を降ろす準備ができると、リスクは売主から買主に移ります。一方で荷下ろし作業の責任は買主にあります。


インコタームズⓇ2010からの変更点

インコタームズⓇ2010からの主な変更点は次の通りです。

  •  DAT(ターミナル持込渡し)がDPU(荷卸込持込渡し)に変更されました。これにともない、仕向地は「ターミナル」に限定せず、いかなる場所でも可となりました。
  • CIF、CIPにおいては売主が貨物保険を付保する必要があります。その際に付保する保険はInstitute Cargo Clause(C)条件で足りるとされていました。インコタームズⓇ2020への改訂により、CIPはInstitute Cargo Clause(A)の最低補償範囲の保険の付保をを売主に義務づけています。一方CIFにおいては、従来通りInstitute Cargo Clause(C)の最低補償範囲での保険の付与を義務づけてます。
  • Free Carrier(FCA)、Delivered at Place(DAP)、Delivered at Place Unloaded(DPU)、およびDelivered Duty Paid(DDP)は、3PLを雇うことなく独自の輸送手段を使用して商品を輸送できることを考慮に入れています。

 インコタームズ®は完全な売買契約を構成するのではなく、その一部となります。詳しくは西濃運輸国際部にご相談ください。

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