
三国間貿易
物流用語として使用される「三国間貿易」について、解説しています。
三国間貿易とは
三国間貿易とは二国間でのモノの受け渡しを、第三国が主体となって売買契約を取り仕切る貿易のことを指します。通常の貿易取引は二国間で完結するのですが、三国間貿易では2者の間に入る仲介者(第三国)が存在するのが特徴です。
一般的な貿易形態である二国間貿易について
一般的な貿易形態は2国間で行われる二国間貿易です。この場合、商品の売主と輸出者、商品の買主と輸入者が一致します。商品のやり取り、金銭の授受ともに2国間で行われシンプルで手間の少ない貿易形態です。
三国間貿易の仕組み
一方、三国間貿易はこの二国間の貿易に第三国が介在する貿易形態です。
例えば、A国で機械製品を製造している会社、そのA国の製品を購入したいB国の会社、A国の製品を取り扱うC国の販売代理店の3社が存在し、B国の会社はC国の会社を通じてA国の製品を購入することになったとします。
製品を入手したいB国はC国へ注文をし、注文を受けたC国はA国の製品の購入手続きをします。購入手続きを受けたA国は直接B国へ製品を送ります。その製品の代金をB国はC国に支払い、C国はA国に代金を支払います。その際、A国とB国の間で製品のやり取りは発生しますが、金銭のやり取りは発生しません。このように、モノとお金の受け渡しの主体が一致しない取引(商物分離)であるのが特徴です。
中継貿易との違い
三国間貿易と別に、1回の取引で3国がかかわる貿易形態として中継貿易が存在します。中継貿易とは二国間で貿易を行う際に第三国を経由して商品を輸送する貿易形態を指します。この場合の第三国は単なる経由地としての役割が主で、そのまま他国に再輸出されることが多いです。中継貿易を行う目的としては、免税のほかに政治的な事情により第三国を経由しないと取引が難しいケースなどがあげられます。
三国間貿易のメリット
三国間貿易は二国間での貿易よりも手間が増える一方、手間を上回るメリットもあります。
- 輸出者のメリット
- 自社で営業拠点を持っていない国や営業活動ができない国にも仲介者(第三国)を通じて、販促や交渉が可能となります。代金回収の面でも安全であり、為替リスクヘッジとしても有効です。
- 輸入者のメリット
- ほしい商品を製造者が自国で販売していなくても仲介者を経由して入手することができます。その際の交渉は直接製造者と行うよりも手間が少ないことが多いです。また仲介者を通じて輸入する場合でも、商品は輸出国から直接輸送されるため、リードタイムや輸送コストの面でも優位性があります。
- 仲介者のメリット
- 仲介者が日本の場合、国外での取引となるため消費税課税の対象外となります。そのため三国間貿易で得た売上を計上しても消費税課税の対象とはなりません。その分利益を創出することができます。
まとめ
三国間貿易は一般的な二国間の貿易より手間はかかりますが、信用問題やコストの面でメリットが存在します。条件によっては三国間貿易を取り入れることで事業に大きな利益をもたらします。