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株主の皆様へ



株主の皆様には、日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。

当連結会計年度(以下、「当期」といいます。)におけるわが国経済は、中東やロシア・ウクライナ情勢をめぐる海外の地政学的リスクが継続するなか、国内においてはインバウンド需要の拡大や企業による設備投資の増加により、景気は緩やかな回復基調を見せたものの、物価高の影響から個人消費や住宅投資が伸び悩み、先行きは依然として不透明な状況にありました。

 当社グループの主要な事業にあたる輸送業界では、国内貨物輸送量が前年度を下回るなか、エネルギー価格の高騰や「2024年問題」への対応が求められるなど、企業活動を取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続きました。

 このような環境におきまして、当社グループは、成長と適切な資本政策によるPBR1倍超を早期に実現し、ROE8.0%以上を目指すため、2年目を迎えた「中長期の経営の方向性~ありたい姿とロードマップ2028~」のもと、事業基盤である特積み事業の優位性を維持しながら、重点施策として掲げるロジスティクス事業および貸切事業を成長エンジンと位置づけ、高利益体質への転換を目指して、成長性、収益性、資本効率のバランスを考慮した施策を展開してまいりました。

 また、202410月1日付で三菱電機ロジスティクス株式会社(同日付でMDロジス株式会社に商号変更)を連結子会社化いたしました。同社が有する高度な物流ノウハウと、当社グループが有する輸送ネットワークとシステム群を融合させることにより、国内にとどまらずグローバルな視点から高付加価値化を一層推進してまいりました。この新規連結は、輸送事業の収益に大きく寄与しました。

 この結果、当期の売上高は7,37377百万円(前連結会計年度(以下、「前期」といいます。)比14.7%増)、営業利益は29883百万円(前期比27.7%増)、経常利益は28124百万円(前期比14.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19253百万円(前期比32.2%増)となりました。

輸送事業

当事業におきましては、主力である特積み事業において、全国展開する路線ネットワークを活かし、当社の強みである長距離・高重量帯を中心に適正運賃収受が進展するとともに、取扱貨物量に相関した運行体制に見直すなど費用の適正化に努め、各政策の実行を推進してまいりました。

一方、物価高の影響によって国内の個人消費が伸び悩み、当社の取扱貨物量は前年度をやや下回りました。また、定年などの退職者に対し新規採用が伸びずドライバーが不足したことに加え、「2024年問題」に伴うドライバーの時間外労働の上限規制によって、傭車・外注費は増加しました。

また、直面するこの「2024年問題」を変革の好機と捉え、2024年5月には日本郵便株式会社と業務提携を締結し、幹線輸送の共同運行を開始いたしました。企業の垣根を超えたO.P.P.(※)を通じて、非効率な地域を相互に補完し合うなど、業界全体の効率化を図る取り組みを加速させ、長期的かつ継続的な輸送品質の確保にも注力しております。

拠点展開においては、西濃運輸株式会社豊川支店(愛知県豊川市)の物流倉庫の建て替えおよびセイノースーパーエクスプレス株式会社福岡貨物センター(福岡市東区)の移転を実施し、ロジスティクスインフラの強化を通じて、収益拡大を図っております。

この結果、MDロジス株式会社による新規連結の増収効果もあり、売上高は5,54126百万円(前期比17.8%増)、営業利益は20743百万円(前期比35.8%増)となりました。

(※)…O.P.P.とは、オープン・パブリック・プラットフォームの略称。社内外、業種の違い等を問わず連携した(オープン)、誰もが使える(パブリック)、物流プラットフォームを構築し、プラットフォーム利用者それぞれの効率化や価値向上、さらには社会インフラとして産業・環境・生活への貢献を実現する構想。

自動車販売事業

当事業におきましては、乗用車販売において、過年度のメーカーの認証不正の影響から、新型車の発表に遅れが生じるなど受注環境への影響や、メーカーの生産、出荷の遅延により、新車販売台数は前年実績を下回りました。しかしながら、高価格帯車種の販売が好調に推移したこと、また直販を中心とした販売強化を行ったことで、営業利益は大きく伸長しました。

中古車販売では、U-Car商品化の作業工程を見直したことにより、各店舗の展示台数を確保することで小売は伸長しましたが、卸売を含めた販売台数全体では前年実績を下回りました。

トラック販売では、過年度のメーカーの認証不正の影響により一部車型において生産停止が続くなか、前年の低調な販売からの反動に加え、代替需要を掘り起こす施策を実施したことで、新車販売台数は前年実績を大きく上回りました。

拠点展開においては、トヨタカローラネッツ岐阜株式会社岐阜店(岐阜県岐阜市)のサービス工場の新築移転およびカローラ羽島店(岐阜県羽島市)のサービス工場のリニューアルを実施し、CS(顧客満足度)向上や店舗運営の効率化も図っております。

この結果、売上高は1,15328百万円(前期比6.1%増)、営業利益は7161百万円(前期比23.3%増)となりました。


物品販売事業

当事業におきましては、燃料や紙・紙製品に代表される物品の販売を行っております。燃料販売における販売単価の上昇に加え、特に介護家庭紙を中心とした介護用品が好調に推移したことから、売上高は38780百万円(前期比8.5%増)、営業利益は1169百万円(前期比23.4%増)となりました。

不動産賃貸事業

当事業におきましては、所有する土地および跡地利用において、ポテンシャルを最大限に活かし、地域ごとに、より利用価値が高い賃貸などへのトランスフォームを推進してきたことから、売上高は2354百万円(前期比4.8%増)、営業利益は1731百万円(前期比5.0%増)となりました。

その他

当事業におきましては、情報関連事業、労働者派遣業、建築工事請負業、住宅販売業およびタクシー事業などを行っております。売上高は26786百万円(前期比3.4%増)、営業利益は1829百万円(前期比31.1%増)となりました。


わが国経済の今後の見通しは、雇用・所得環境の改善や政府による各種政策の効果により、緩やかな景気回復が期待されます。一方で、アメリカの通商(関税)政策の影響によるインフレや消費マインドの悪化が懸念され、景気が下振れするリスクが高まっております。

当社グループの主要な事業である輸送業界におきましては、円安傾向、不安定な原油供給量、ドライバー不足、労働人口の減少などの環境が続いております。

このような情勢を追い風に、「ロードマップ2028」の目標達成に向けた3年目の取り組みは、輸送事業の主力である特積み事業において、「2024年問題」への対応として、O.P.P.の推進により、持続可能な社会の実現と物流業界全体の効率化を図ってまいります。様々なパートナーと連携し、業界の垣根を越えた「共創」を通じ、「Team Green Logistics」の実現を目指してまいります。さらに、持続可能な輸送力を確保するため、お客様に付加価値を提供しつつ、適正運賃収受の取り組みも継続して進めてまいります。

成長分野であるロジスティクス事業においては、「物流診断サービス」を活用したコンサルティング営業を行い、お客様の人手不足に対し、お客様に成り代わって、物流改善や効率化を提供することで、価値創造を実現してまいります。また、エレクトロニクス、ヘルスケア、オートモーティブ・バッテリーの産業別ロジスティクスを展開し、お客様のニーズに合わせた提案を行うことで、さらなる事業拡大を図ってまいります。

同じく成長分野の貸切事業においては、受付窓口を集約した「貸切集中配車センター」にて、迅速な対応によるCS(顧客満足度)向上を目指すとともに、「ハコベル」の機能を活用し、貸切手配を100%保証するエリアの拡充など、利便性の向上にも努めてまいります。

自動車販売事業の乗用車販売においては、CS向上に向け、店舗・サービス工場のリニューアルや商圏分析をもとにした拠点の統廃合、新店計画を進めることで店舗網の最適化を図ってまいります。また、利益率の高いサービス部門を担う整備士の採用・育成・定着に努めるため、継続的に職場の環境整備を行うほか、営業スタッフを含めた社員へのキャリアプランの構築と教育制度を拡充し“お客様に選ばれる店づくり”を目指してまいります。

トラック販売においては、一部の新車において供給制限は続くものの、大型車型については受注再開の目途が立ち、新車販売を加速させるとともに、リースや保険等の金融商品の増販を目指してまいります。また、お客様の費用負担が大きくなる路上故障リスクを低減するために予防整備を提案するなど、ニーズにあわせた営業を行うことで、収益性の高い整備事業にも繋げてまいります。

物品販売事業、不動産賃貸事業およびその他では、事業領域の拡大や既存事業強化を実施してまいります。

株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。


     令和7年6

   代表取締役社長 田口 義隆

   代表取締役   田口 隆男